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【CSIJコラム42(2026,2,26)】
「Winny・おぼえていますか?」

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エムオーテックス株式会社
プロフェッショナルサービス本部 エキスパート
小関 直樹​

 社内の勉強会での、20代若手社員との会話です。

若手 「この『ピアツーピアのファイル共有技術の使用を管理』と

 いうのが分からなかったです」

私  「これは、あれだよ、Winnyとかだよ」
若手 「え? うぃ? うぃにー?」
私   「え? Winny知らない?」
若手 「何ですか、Winnyって?」
私   「Winnyってのはさ、昔流行ったファイル共有ソフトって

 やつでさ、これを入れてる人同士で海賊版の映画データ

 とかの違法コンテンツが自動で共有されてさ、著作権

 侵害が問題になってさ、それでWinnyを会社PCに入れてた

 せいで機密情報まで共有されて漏えいしちゃったりしてさ、

 そこから使用禁止ソフトを決めるっていう対策が普及してさ、

 しまいには開発者が逮捕されたりさ (注:その後、裁判で

 無罪が確定)」

若手 「(話長いな・・・)」

 

 確認してみると、Winnyが問題となったのは2002年頃からで、もう20年以上も経っているのですね[1]。若手が知らなくても不思議はないわけです。念のため別の若手にも聞いてみましたが、やはり知らないとのことでした。つまり、若手社員にとって「使用禁止ソフト=Winny」という構図は存在しない場合があるということです。

 また調べてみると、情報処理推進機構(IPA)はこれまでファイル共有ソフト(Winny、Winnyp、Share)による情報漏えいを防ぐためのソフトウェアである「情報漏えい対策ツール」を提供していましたが、そのツールの配布やサポートが2025年9月末日をもって終了していました[2]。理由は「ファイル共有ソフトによる情報漏えい事故は減少しており、ファイル共有ソフト単体でのセキュリティ対策の必要性が薄れていると考えるため」だそうです。

 Winny、知らない間にお前、すっかり過去の人になっちまってたんだな・・・。

 

 折しも、同じくIPAから「情報セキュリティ10大脅威2026」が発表されました[3]。組織編3位に「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初選出されたことが話題となっていますが、このように新たな脅威が登場する一方で、人知れずひっそりと表舞台から退場していく脅威もあったわけです。

 

 私たちはどうしても新しい脅威に目が行きますし、それらへの対応を優先しがちです。しかし、もしかしたら今後は、忘れられた古い脅威に足を掬われることもあるのかもしれない、というのが今回感じたことです。Winnyそのものでなくても、似たような自動情報共有の仕組みが出てきたときに、その危険性を察知して直ちにWinnyと同様の対策をとることができるか。そのためには、過去の体験を世代間で共有していく必要があります。

 そう考えると、社内の勉強会のような機会を捉えて、過去にあった脅威やその対策について上下の世代で話し合うというのは、意外と有益なことなのかもしれません。下の世代は、今ある対策ルールが単なる決まりごとではなくて、歴史や背景に裏打ちされたものなのだということを理解できるでしょうし、上の世代は、自分たちが常識だと思っていることが下の世代にとってはそうではないと知ることができます。少なくとも、「使用禁止ソフト=Winny」という構図はアップデートしなければならなくなっていると言えます。

 まあ、単なる思い出話や上から目線の自慢話ばかりにならないよう、上の世代は気をつけなければなりませんが・・・。
 

 

【参考】

[1]   Winny事件,フリー百科事典ウィキペディア日本語版,2026年1月25日 (日) 04:36 UTC.
https://ja.wikipedia.org/wiki/Winny事件
[2]   情報漏えい対策ツールについて,独立行政法人情報処理推進機構,2025年10月1日.
https://www.ipa.go.jp/security/anshin/winny119/about.html
[3]   情報セキュリティ10大脅威 2026,独立行政法人情報処理推進機構,2026年1月29日.
https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2026.html

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