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【CSIJコラム25(2024,10,30)】

「災害時の虚偽情報を含む情報拡散」

 

株式会社ラック

秋山 真菜

 

​ 急に冷え込む日が増えてきましたね。皆さん、風邪など引いていませんか?こんな寒い日が続くと、家で温かくしていたいですよね。さて、2024年元旦に発生した能登半島地震の際、私は実家の石川県にいました。この災害では、SNSを通じて迅速に情報が共有されましたが、誤情報や虚偽の内容も多く拡散されており、混乱を目の当たりにしました。災害時には物理的な影響だけでなく、インターネット上での情報の扱いにも手が抜けません。

 

 インターネットとSNSの普及により、誰もが情報の発信者となれる時代が到来しています。その結果、正確な情報と虚偽の情報が混在し、誤った情報が一度広まると瞬時に拡散されるリスクが高まっています。能登半島地震の際には、以下のような未確認の情報が広がり、混乱を招きました。

  • 2011 年の東日本大震災の津波の映像を使って、まるで能登半島地震の被害のように誤認させるもの

  • 被災地の住所を転記して、まるで自分が被害に遭っているかのように誤解させる偽の救助要請

  • PayPay 等を経由した虚偽の寄付募集

  • 全国から能登半島に盗賊団が大集結中といった根拠不明の犯罪情報

  • 志賀原子力発電所で放射性物質を含む水が 2 基で約 420リットル漏えい中といった原発事故を誤認させるもの

  • 人工地震等の陰謀論

 情報のバイラル性(※)も誤情報拡散の要因です。感情的な内容や目を引く情報は、人々の関心を集めやすく、結果として急速に広がります。能登半島地震の際には、被災地の状況を誇張したり、恐怖を煽ったりする投稿が不安を増大させました。

(※)感情的な内容や驚きの要素を含む情報がインターネットを介して急速に広まる現象

 上記のような誤情報が飛び交う中、すべての誤情報を完全に排除することは難しいのが現状です。そんな現状を緩和する対策として、プラットフォーム側では、SNS運営企業がAIや機械学習を用いたフェイクニュースの検出システムを強化し、虚偽情報を自動的に検出し削除する仕組みを整備しています。

 

 一方でユーザー側のリテラシー向上も不可欠です。災害時や緊急時には、SNSで拡散される情報の真偽を冷静に確認する習慣を持つことが重要です。また、情報発信に対する責任感を持ち、信頼できるメディアや専門家の意見を参考にすることで、虚偽情報に踊らされることを防ぐことができます。

 

 政府や公共機関は、災害発生時に公式な情報を迅速に提供することで、誤情報の拡散を防ぐことが求められます。実際に能登半島地震後には、誤情報撲滅に向けた政府主導の啓発活動が強化されました。

 

 虚偽情報の拡散は、情報化社会における深刻な問題であり、特に災害時にはその影響が顕著に現れます。能登半島地震の事例を通じて、SNSでの誤情報拡散がいかに社会に混乱を招くかが明らかになりました。今後は、技術的な対策とともに、個々の情報リテラシー向上がますます重要になるでしょう。

【参考】
情報セキュリティ白書2024 - IPA
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-security/eid2eo0000007gv4-att/2024_ALL.pdf

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